Story
ある夏の夜、なっちゃんが死んだ。
つまらない冗談を言っては
「笑いなさいよ!」と
一人でツッコミを入れていたなっちゃんは、
新宿二丁目で食事処を営むママ。
その店で働くモリリンは
ドラァグクイーン仲間の
バージンとズブ子を呼び出す。
彼らがまず考えたのは
なっちゃんが家族にオネエであることを
カミングアウトしていなかったこと。
証拠を隠すため
なっちゃんの自宅に侵入した3人は、
なっちゃんの母・恵子と出くわしてしまう。
何とかその場を取り繕った彼らだが、
恵子から岐阜県郡上市の実家で行われる
葬儀に誘われてしまい、
なっちゃんの“ひみつ”を隠し通すため
”普通のおじさん”に扮し、
一路郡上八幡へ向かうことになる……。
笑って泣けてほっこりして、でも鑑賞後は考えさせられること山積み。 悪人ゼロで荒唐無稽な物語は、60~70年代の喜劇映画的で懐かしい風合いだけど、 今のセクシュアル・マイノリティをとりまく問題をうまく取り込んでいるのよね。
やさしさと寛容さが人の心をあたたかくすることを教えてくれるロードムービー。
滝藤賢一さん演じるバージンをはじめとするモリリン、ズブ子のドラァグクイーンがとにかくリアル! 何より手の動きが可愛いく、観ていてどのキャラクターも愛くるしく素敵でした。 3人の珍道中が面白くて私も一緒に旅をしている気持ちになりました。 そして、心の傷や弱い部分をもった登場人物たちの繊細な心の動きにウルッとしてしまいました。
笑いあり涙あり!観た後はほっこりした気持ちになる大満足な映画です!!
人間誰しも秘密を抱えてるもの。ドラァグクイーンなんてやってると尚更。きっとあなたも共感できる場面があるはず! 田舎ののどかな景色に、派手なドラァグクイーンの場違い感も面白い!
そして、スーパーの店員の男の子、可愛いかったわ〜♡
人びとを隔てる壁みたいなもの。それに憤り、あらがったことは誰しもがあるのではないでしょうか。 「そんなもんよねぇ」と正面からぶつかるのを止めたとき、私は食えない中年になったように思います。
この映画はそんなほろ苦くも瑞々しい若い日々を束の間、よみがえらせてくれました。
パートナーを亡くしました。 2年8ヶ月前のこと。 突然でした。
彼はまだ50半ばと言う年齢で、だからなんの準備もせずに逝っちゃった。 死ぬと言うことは秘密が明らかになっていくことなんだなぁ、とそのときしみじみ思いました。
カミングアウトしていたわけでなく、幸か不幸か何度か彼のおかあさんと電話で話したことがあった。 訃報を伝えたときに「サカキさんは息子のパートナーさんですか?」と聞かれ、それが彼にとっての最初で最後のカミングアウトになったのでした。
ずっと秘密にしたい秘密と、みんなに知らせてあげたい秘密。 その仕分けがとても大変だったこと。
息子が死ぬまで息子らしくいれたのはサカキさんのおかげです、と言われた言葉。
ボクが経験したいろんなことを、映画を観ながら思い出しリアリティに満ちたストーリーと演技に心がしたたか動きました。
「3人のドラァグクイーンたちが本当の”美しさ”を見つける旅を描く」っていうテーマ。 ロードムービーっぽい予告編。 「プリシラ」みたいな映画かなぁ、と思っていたけど、予想は見事に、そしてステキに裏切られました。ゲイがゲイを演じるならば多分、こんなふうに演じるんだろう、って驚くほどに自然な主要3人の見事な演技。
ところどころにゲイとしてくすぐったくなるようなサービスシーンもあるけれど、しっとりとしたおだやかな空気が基調のやさしい映画。
プリシラがクラブミュージックだとしたら、これは日本の盆踊り。
どんなときでも母はやさしく、遠くにあっても故郷は近い。
味わいぶかい映画です。